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「やれやれ」
レストルームに向かいながら、ロックオン・ストラトスは軽くため息をついていた。
最年少のマイスター、刹那・F・セイエイの無愛想はいまに始まったことではない。その上無口で、10代とは思えないほどに克己心が強い。
自身の10代を振り返ってみても、そう楽しい時間を過ごした訳ではなく、それどころか、スナイパーとして、これ以上ないと思うような、過酷な経験を重ねていた。
だからというべきか、常に、ひとりで強くあろうとする刹那の姿を見ると、声をかけたくなる。どうでもいいようなことを話しかけながらも、心の片隅でほんとうにかけたがっていることばは、「そんなにがんばるなよ」という、ガンダムマイスターにあるまじき台詞だった。
(…ティエリアが聞いたら、あれだな)
「万死に値するぞ!」
まさにいま考えていた台詞が聞こえてきて、ロックオンは物思いから目が覚めた。
レストルームから聞こえてきた。さらに、いらいらとした律動的な足音もする。
なにを思う間もなく、目の前の扉が開く。不機嫌さを隠そうともしない、ティエリア・アーデがいた。
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