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ロックオン・ストラトスが、ティエリア・アーデの口癖を耳にする、少し前。
レストルームには、ひとり、ぽっかり空いた時間を持て余すアレルヤ・ハプティズムの姿があった。
モニターに映し出される、世界中のニュース速報をぼうっと眺める。
(…疲れた、なんて思っちゃいねぇだろうな)
ハレルヤの声がする。
弱気になると、いつも発破をかけてくれる。
(死にたくなきゃオレに体を渡しちまえよ。オレはまだ死にたくねぇ)
「…わかってるよ、ハレルヤ」
でも、体を明け渡すことはできない。ヴェーダに選ばれたガンダムマイスターは、アレルヤ・ハプティズムなのだから。
「…でもいつも、君に助けてもらってる。ロックオンも、ティエリアも、刹那さえ、自分ひとりで闘っているのに」
後ろめたいのではない。ただ歯痒い。自分が生き残っているのはハレルヤがいたからであり、それ以上でもそれ以下でもない。アレルヤはそう思い込んでいた。
だからといって、ハレルヤがいない自分など想像もできないけれど。
「ごめんよ、ハレルヤ…」
(…)
ハレルヤは応えなかった。呆れているのかもしれなかった。
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