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「よう、どうしたティエリア」
暢気に声をかけてきた、ロックオン・ストラトスの姿に、ティエリアは柄にもなく先程のアレルヤ・ハプティズムとの会話でいらついたことを愚痴りそうになった。
すんでで自制した。同意もフォローも聞きたくはなかったからだ。
ただ睨みつけてくるティエリアに何を思ったのか、ロックオンはいま思いついたかのように指を鳴らした。
「そーだ、晩飯外で食おうと思うんだが、ティエリア、なんか作れるか?」
「…なんだと?」
訳がわからない。外で食べたければ好きにすればいい。ただし、自分を巻き込むことなく。
そう告げるのを見計らったかのように、ロックオンが言葉を重ねる。
「せっかく地上にいるんだ、たまには調理も悪くないだろ?あ、それとも」
にやり、と意地の悪そうな顔。
「…なにが言いたい」
「いや?もしかしたらお前、料理はできねぇかもなぁと思って」
明らかな挑発。乗ってやる義理もないが…。
「…ふん」
「おーい、作ってくれんのかよ」
構わずロックオンのそばを通り過ぎる。
足はキッチンに向かっていた。
「…期待してるぜ」
笑みを多分に含んだ呟きにも、ティエリアは聞こえない振りをした。
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