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黄side
こんな問題も分からんの?
そう聞きながら俺の方をニコニコ見てる先生に、ちょっと寒気がした。
「いや…分からんってか、その…」
「せやから、分からんのやろ?」
「ぅ、あ…ハイ…」
「なんで俺の教科だけ悪いんかなー?」
不思議そうに白紙のプリントを見ながら、軽く溜め息を付いた先生。
他の教科はそうでもない。けど、数学だけはどーしても成績が伸びん俺。
こーやって放課後残って補習を受けたって正直、成績が上がる気なんてせーへん。
「授業聞いとらんの?」
「わ…っ!」
ズイ、と机に乗り出して顔を近付けて来る先生に、思いっきり体が跳ねた。
「錦戸ー…いくら俺のこと嫌やからって、それは流石に傷付くわ」
「え、や、あの、ちゃいます!」
「んー…もうええから、早くやりぃ」
そんなん、ちゃうのに。
ホンマに嫌いなんやったら、こうやって補習に来たり、1対1で勉強なんかする訳ないのに。
ホンマに嫌いなんやったら、先生を見過ぎで授業に集中出来ん、なんてことにはならへんのに。
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