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授業の終わった昼下がり。昼食を食べ終えた生徒という名の有象無象が、それぞれいつもと変わらぬ時間を過ごしているお昼休み。
元気の有り余っている奴等は校庭へ駆け出し、社交的な奴等は教室で雑談タイム。そして……
「そのどちらもが足りない俺はこうして一人、人生の勝ち組である友人を眺めているのでした」
「……ねえ。その言葉の前に何を考えていたのかは分からないけれど……。つまりその定義の真逆に位置する貴方は人生の負け組。という私の認識は間違いじゃないかしら?」
そんな辛辣な言葉を向けられて、俺の飴細工のような心が砕けて、目の前で楽しそうに雑談する友人への嫉妬の炎でドロドロに。
「その事実に対しては否定のしようがないけどな。おまえのその歯に衣着せぬ物言いには物申したい所存でございます」
そういって友人から、視線をそのハートブレイカーな彼女に移す。
そいつは相も変わらず綺麗な黄金の髪を携えて、今は無人の及川君の机に座り、この学校で見せるには本当に無駄すぎるぐらいの優雅さを惜しげもなく出しながら気怠そうにこちらを眺めていた。
彼女の名前は藤ノ宮累奈。一言でこいつの事を表すのならば、人類稀に見る完璧超人。趣味は勉強、最近ハマってる事は自分を磨き上げることかな? なんて言っても可笑しくないような才色兼備っぷりを遺憾なく発揮している同級生。俺のような一般ピープルに生きる意味を見失わさせてくれるようなその性能に加えて、お家の方も素晴らしいお金持ちという、なんとも冗談のような存在だ。
「却下。隣にこんな愛らしい女の子が来ているにも関わらず、それを無視してあろうことか男の子に向けて、そんな熱い視線を送っている貴方の異議など認められません」
そんな彼女に無表情で苦言を労される俺。その言葉に俺は一度溜め息を返す。
ああ、全く分かってないな?
「そりゃあ仕方ないだろ?」
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