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「本気も本気、だから輝いてる。なあ、前に俺が三日間休んでた時があるだろ?」
俺の問いに『ええ』と短く答える累奈。
「あれさ? あいつが幽霊とお知り合いになった時に俺も巻き込まれてな。俗に言う霊障、っていうの? それを貰っちゃってさ……」
あの時の肩の重さを思い出して少し気分が重くなる。するとその話を聞いた累奈は珍しく驚きにそのくりくりなお目々をぱっちりと開いて驚く。
「……なるほど。だから私が電話した時に、聞いたことのない男の声が聞こえてたのね」
そう話してから、ああ怖い、なんて身震いをして女の子らしく怖がる累奈。
あれ? 霊障じゃなくてモノホン憑いてたの?
◆◆◆
「知ってるか? 優希って魔法も使えるんだぜ」
放課後。既に日が落ち始めて、なんとなく哀愁が漂い始める中。部活という学生ならば当然のようにこなすべき仲間との馴れ合いの時間を持たない俺は、仕方なく真っ直ぐに家路を歩む。
「あら。貴方ってそんな身なりをしているくせに、頭の中は意外とファンシーなのね?」
しかし、今日は何故か隣にお嬢様を連れての執事のような帰り道。
しかしながらいつもの孤独よりも精神的にクルものがあるのはなんでだろうか?
「おいおい信じろよな? ほらこれ。その時に右腕ばっさり持っていかれちゃてさ……」
そういってシャツの袖をまくって、未だうっすらと傷の残るその部分を見せる。
いやぁ、あの時はびっくりした。なにせ明らかに殺される一般人Aみたいな立ち位置だったからな。首になんだか分からないものを突きつけられた時は久しぶりに死を覚悟したもんだ。
「……貴方、またそんな目にあったの?」
俺を呆れた目で見ながらそう話す累奈。
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