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(サスケのばかやろう)
ナルトはしばらく夢中で走っていた。
だんだん速度をゆるめ、ついに立ち止まる。
後ろから風が吹き付けてくる。
ナルトはうつむいて思った。
(久しぶりに会ったのに相変わらずだってばよ。
サクラちゃんには優しい顔するのに。
なんで俺にはあんな……)
手のひらをぐっと握りしめた。
きっと己が男だから、サスケも意地悪するんだろう。
もしそうなら、なぜ、己は男なんかに生まれてしまったのだろう。
切なさに顔を歪めた。
(俺は男なのに……。
それなのにサスケを……好きに、なって……)
胸に溜まる切なさを息とともに吐き出す。
(好きになっちまったんだ。
今更あれこれ考えてもしょうがねぇってばよ。
でも、もしこの気持ちを、サスケに伝えたら……)
男同士なんか気持ちわりぃ……きっとそう言われてしまうだろう。
だけど、伝えてしまわないとこの気持ちはいつまでも己をくすぶる、そうナルトは思った。
(……今、伝えないともう言えない……なんかそんな気がするってばよ)
伝えるには……どんな形でもいい。
伝えたい。
そんな思いに静かに印を結び、術を口にする。
「忍法……!」
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