「気付いたんだ」

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え?あれ……? 頭の中が一気に真っ白になって、上手く考えることが出来ない。 何で……、何でお父様が篠田くんのお母さんと同じ名前を呼ぶの? ……あれ? ――『あの男子に関わるのはやめなさい』 あれは、篠田くんがお世辞にも真面目だとは言いがたい生徒だから、付き合わないようにと釘を刺すための言葉だと思っていた。 まさか。そんなはずない……。 “ちえみ”なんて、よくある名前だし。 それだけで、篠田くんに繋げるなんて馬鹿げてる。 頭のなかでは否定するのに、変な胸騒ぎがして、心音が速くなる。 ――『俺だってお前なんか嫌いなんだよ』 篠田くんに嫌われている理由を、私はちゃんと聞いたことがない。 あれ? え……? うそ……。 頭の中がぐちゃぐちゃになって、私は父の書斎の前から逃げ出した。
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