「口止め料」

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教室のドアの前まで来ると、中の騒ぎ声が漏れて、耳に響いて聞こえる。 教室の前方から入ろうと、ドアにかけた手をピタッと止め、後方のドアまで移動する。 ドアをゆっくりと開け、教室の中に入る。 一番前の席には、たくさんの女子と男子の姿が。 中心部にいる一人の男子を囲っていた。 「なんでお前みたいなのが学年トップなんだよー!」 「お前みたいなの、とか言うなっつーの!」 からかうように一枚の細長い紙をヒラヒラさせた男子に、中心部にいる男子が笑いながらそれを奪おうとしてる。 「篠田くんが勉強してる姿とか、今だに一回も見たことないんですけどー?」 「さすがに授業中は真面目に黒板見て勉強してるし!」 笑いながらからかう女子に、その男子がまたすかさず口を挟んだ。 彼が口を開くたびに、沸き上がる歓声。 うるさいくらいに……。
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