「気付いたんだ」

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過ぎる時間は早くて、下を向いて歩いていただけで、あっという間に家の前までたどり着いてしまった。 「送ってくれて……ありがと……」 「うん」 「……」 まだ離れたくない、……なんて言ったら、どんな顔をするんだろう。 手を繋いだまま、下を向いて、家に入ろうとする気配を見せない私に、 「なぁ」 先ほどよりもギュッと強く手を握り、篠田くんが声をかけた。 顔を上げる。 目が見えなくても、暗闇の中で真剣な表情でこちらを見ているのが分かる。 「俺……、お前に言いたいことがあるんだけど」
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