「気付いたんだ」

16/23
前へ
/536ページ
次へ
部屋の前に立ち、呼吸を整えてから、扉をノックしようと手にこぶしを作った。 ノックしようとした瞬間、 「ああ……、うん……。分かってる……」 扉が数センチ開いていて、中にいる父の声の端々が聞こえてきた。 誰かと一緒に居る……? 開いている隙間から、気付かれないように中をそっと覗くと、そこには椅子に座ってケータイを片手に話し掛けている父の姿。 なんだ、電話中か。 緊張していたせいもあって、拍子抜けする。 電話が終るの待ってたほうがいいよね。 軽く息を吐き、扉に背を向ける。 こんな時間に、誰と電話なんてしてるんだろう。 学校の先生とか?
/536ページ

最初のコメントを投稿しよう!

153899人が本棚に入れています
本棚に追加