「気付いたんだ」

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自分の部屋に入り、思い切り扉を閉める。 父が、母以外の女の人の名前を口にした。 ううん、そんなのどうだっていい。 両親が揃って一緒に居るところなんて、もう何年も見ていないから。 お父様が言った「ちえみ」は、篠田くんのお母さんじゃないよね……? だけど、それにしては偶然が重なりすぎているような……。 ――『なんで私のこと嫌いなの?』 ――『それは……』 あの日、私は答えを聞いてない。 震える手で、自分のケータイに手を伸ばす。 唯一残るリダイアルの名前。 “篠田圭吾”。 名前を見ただけで、不安で涙があふれる。 篠田くん……。 違うよね? 私は……、あなたを好きでいても……いいんだよね?
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