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「乙華(いつか)、最近成績が落ちているらしいな」
「はい……。ごめんなさい」
ここは、私の通う高校の理事長室。
ただ一人、理事長のためだけに存在する無駄に広い部屋。
大きな机と椅子には、豪華に金色の装飾がされてある。
そこにためらいもなく座るのは、この部屋の住人。
すらりと背が高く、頭は少し白髪混じり。
彼は、私、藤崎乙華(ふじさき いつか)の父。
私は理事長の娘。
そんな私は今、堂々とした態度で椅子に座る父の目の前で、
緊張のあまり身を固め、少しだけ震えながら背筋をピンと伸ばして立ち尽くしている。
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