「口止め料」

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「あまり……私に恥をかかせるなよ」 「はい……」 父は細長い紙を見た後、私を見て眉を寄せ、深いため息を吐いた。 「じゃあ行きなさい」 「はい。失礼しました」 父親相手に敬語で、深く頭を下げ、理事長室を退出する。 パタン、と後ろ手に扉を閉め、先ほど父に手渡された細長い紙を見る。 それは、個人の成績が印されてあるもの。 “藤崎乙華”と、私の名前の後に、“学年二位”の文字。 「一位以外は全て負け組……か……」 いつも父に言われている台詞を口にし、またため息を吐いた。
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