153896人が本棚に入れています
本棚に追加
「あまり……私に恥をかかせるなよ」
「はい……」
父は細長い紙を見た後、私を見て眉を寄せ、深いため息を吐いた。
「じゃあ行きなさい」
「はい。失礼しました」
父親相手に敬語で、深く頭を下げ、理事長室を退出する。
パタン、と後ろ手に扉を閉め、先ほど父に手渡された細長い紙を見る。
それは、個人の成績が印されてあるもの。
“藤崎乙華”と、私の名前の後に、“学年二位”の文字。
「一位以外は全て負け組……か……」
いつも父に言われている台詞を口にし、またため息を吐いた。
最初のコメントを投稿しよう!