153834人が本棚に入れています
本棚に追加
/536ページ
篠田くんはジーッと私の顔を見た後、私の手の平に眼鏡と髪ゴムを置き、
「お前さあ、俺の前では眼鏡と髪結ぶのやめろよ」
私の髪の毛を手ですくい、言った。
「なんで……そんなこと言われなくちゃいけないの……」
イライラする。
父のこと。篠田くんのこと。色んな感情が混ざって冷静でいられない。
そんな気持ちを知ってか知らずか、私の髪の毛から手を離し、
「そっちのほうが可愛いから」
クスッと笑い、自分のバッグを持って教室から出ていった。
そこには、呆然とした表情で残された私一人。
そして……
「なに……あれ……」
篠田くんが出ていったドアの反対側に、いつから居たのか、杉本さんが中を見ていた。
「なんであの女が圭吾と……!」
そのことには、私も篠田くんも気が付くことはなかった。
最初のコメントを投稿しよう!