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「乙華、あの男子と付き合うのはやめなさい」
午後十時。
久しぶりに、家の中で父に話し掛けられたかと思ったら、話題がこれだった。
「付き合ってなんか……いません」
下を向き、口ごもる。
あの男子。
父が言うのは、きっと篠田圭吾のこと。
今日の放課後、二人で教室に残っているのを見られてしまったから。
どこまで見ていたんだろう。
抱き締められたところは……見られていないはず。
もし見られていたのだとしたら、「付き合うのはやめなさい」なんて、そんな言葉だけで済ますはずはないのだから。
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