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藤崎乙華、十六歳。
私は、この学園で一番有名な生徒。
私自身が有名なわけじゃない。
私が、理事長の娘だから……。
「あたしさー、このファミレスでバイトしたいんだけど、あんたも一緒に面接行かない?」
「あっ!ばか!“娘”いるよ!」
「えっ!?やば……っ!」
私が廊下を通ると、笑いながらバイト情報誌を見ながら談笑していた女子生徒二人が、私を見るなりばつが悪そうな顔で口に手を当てて黙り込んだ。
別に……。父様にチクッたりしないもん。
うちの高校は、生徒がバイトをするのを禁止されている。
それを、私にバラされる心配をして、彼女たちは口をつぐんだのだろう。
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