「口止め料」

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私は自分の髪の毛を指でつまみ、下唇を噛んだ。 真っ黒で、一度も色を入れたことの無い髪。 腰まで伸びた長い髪を、校則通りに耳の下で二つの三つ編みにしている。 視力の落ちた目には、度のきつい眼鏡。 スカートの丈は、膝より少し上にあるだけ。 全て、父の目を気にしてのこと。 私だって……もっと可愛くなれたらって……、思ってるもん。 あなた達みたいに、誰の目も気にしないで……。 また深くため息を吐き、自分の教室までの道のりを歩いた。
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