「待ってる」

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そんな私の気持ちには気付いていないのか、父は更に話を続けた。 「お前が……、確か二歳の時だった。一番近い親戚がうちだったからな、養女として私と美奈子の子供になった」 ……だめ。 やっぱり、胸……痛くてしょうがない。 “養女”。 ………私は、この家の子供じゃない。 何度事実を突き付けられても、そのたびに痛くなる。 涙をこぼしたくなくて、目を瞑ると、 ――『頑張れ』 頭の中から、また彼の声。 私はゆっくりと深呼吸をした。 不思議。 篠田くんは、不思議。 たった一言で、何度も私に勇気をくれる。
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