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グゥの正体がよく分からないまま、いつの間にか月日が経ち、俺は二十歳になった。
マリーはデザイナーになるために都会の専門学校に通っている。その学校で会った男性と仲良くなり、今は一緒に暮らしているらしい。
俺は今ではジャングルのみんなとは直接会うことがない。
マリーのことは母さんが送ってきた手紙に書いてあって、初めて知った。
俺は今、グゥと一緒に世界中を旅をしている。
学校の宿題で将来について作文が出されたが、俺は具体的に書くことができなかった。
自分のやりたいことを見つけるために旅に出た。
当然のようにグゥは俺と一緒に旅をしている。
相変わらず、やることがはちゃめちゃでなんで一緒にいるのか分からなくなることもあるが、それと同時に何度もグゥに助けられている。
今はグゥと一緒にいることが自然な感じがしている。
「グゥ。次はどこがいいかな?」
俺は世界地図を広げながら、次の行き先を考える。
遭難したときに一度行った日本に行くのもいいかもしれない。
あの時は何とかばあちゃん家に帰ることばかり気にしていたから、ゆっくり見て回れなかった。
「ハレはこのままで良いのか?」
地図を見ている俺の横でグゥは真剣な顔でそう言った。
「このままでいいよ。俺にはグゥがいれば、それで良い。ドキドキハラハラすることは多いけど、グゥと一緒なら、毎日楽しいさ」
とここまで言っておきながら、ハッとする。
「あっ……別にグゥが好きとかそんなんじゃないから!ただ友達としてグゥと一緒にいると楽しいから」
なぜか焦りながら、言い訳がましく、口早話した。
「ハレは……」
「な…なんだよ」
グゥが相手なのに、何だか恥ずかしい。
「なんでもない。ハレは相変わらず、面白くて飽きないな」
それだけ言うと、グゥは俺に近づいてきた。
「大丈夫。こんな面白いハレの傍を離れないよ。ハレがグゥを必要となくなるまでは……」
「グゥ……」
みんなと一緒にいた頃はグゥを女としてみたことはなく、恋愛対象になどなりえなかったのに…。いつの間にかこんなに好きになっていた。
「グゥ……」
俺の唇がグゥの唇と重なった。
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