沙羅のお誕生日

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出会ったのは薄暗い裏道。 不良に絡まれていた女の子を救うために、挑発して逃げて入学式から遅刻した。 一目惚れしたのは教室。隣の席で凛と光を放つその人は本当に綺麗で、近くとも遠い高嶺の華だった。 その人があの時助けた女の子だと知ったのはすぐ後。 彼女は孤児院に住んでいて、でも周りの個性豊かなメンバーに愛されていてとても幸せそうだった。 そんな彼女が、俺は大好きだった。 一緒にキャンプしたり運動会で二人三脚したり、少しずつ距離は近づいたけど、彼女を好きな人はたくさんいて、それを気づかされる度にまた距離を感じてしまって。 ライバルに罵倒された。 親友とは喧嘩した。 それでも俺たちは、結ばれることができた。 でもそんな幸せも長くは続かなくて、離ればなれになって、死ぬほど寂しい思いをして。 俺たちはまた巡りあって。 運命のようで、何度離れても吸い寄せられるようで、俺たちはもう一度幸せを手にいれた。 そんな大切な彼女と。 本当に大切な彼女と。 お互いの全てを見せ合って、愛し合って。 ――俺は、本当に幸せ者だ。
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