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この商店街では不思議なことが起きる、と噂で聞いた。なんでも昔に商店街で問題を起こして殺された男の霊が出歩くそうだ。
そしてその噂のせいで、この商店街も少しづつ寂れてしまっている。店を出店している俺には死活問題だ。
その迷惑な男を探し出してやろうとわざわざ歩いてみたが、そんな奴はどこにもいない。無駄足だったかな、と思い引き返そうとしたその時だった。
向こうの柱の陰からこちらを見ている奴がいる。
なるほど。確かに問題を起こしそうな顔をしている。
捕まえてシメてやろうと、気が付かないフリをして近づいて行った。
しかし近くの店の中に姿を消してしまった。追ってみるとそいつはその店の店主だったようだ。紛らわしさにイラッときたので、思いっきり睨みつけてやった。
周りを改めて見てみる。さっきの親父と同じように遠巻きにこっちをジロジロ見てる。
わざわざ商店街のために出歩いている俺をなぜそんな目で見るのか。
振り返るとなぜか坊主がいた。
急に呼吸ができなくなる。
そこに来てやっと気が付いた。
嗚呼、霊とは俺のことだったのか。
だんだん薄れる意識。せめてと思い、存在していない腹の底から叫ぶ。
「なぜ俺を殺した」
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