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「お……お前は一体…な、何なんだ!!」
ふと、さきほどまで腰を抜かしていた男が怒鳴った。
だが、その声も恐怖で震えており端から見ればとても情けない姿だった。
「…………」
だが、そんな男の怒声も虚しく、フードを着た人物はただ男を見つめて黙っているだけである。
「こ、答えろ!!」
何も答えない人物に嫌気がさしたのか。声を振り絞って再度男が怒鳴った。
「………ブツブツ」
すると突然フードを着た人物が呟くように言葉を発した。
その声は鼻まで上げられたスカーフによって少し濁っていたが、その人物が男性であることは分かった。
「な、何?」
だが男にはその呟きが完全には聞こえなかったのだろう。無意識に聞き返した。
「……黒髪の暗殺者」
「なっ!?」
フード男が小さいながらもはっきりとした口調で言うと、男は驚愕し更に体を震え上がらせ体中から汗を出し始めた。
恐らくわかってしまったのだろう………これから先何が起こるのか……自分がどうなるのか……
「それと……お前に言っておきたいことがある。」
フード男がそう言うと、おもむろに右手を頭上にあげた。
男はその言葉が聞こえていないのか、しまいには涙を流し失禁してしまっている。もう意識を保つのがやっとなのだろう。
「俺の事を………」
そしてフード男は振り上げていた右手を……
「……許さないでほしい」
……降り下ろした。
―――しばらくして、廊下で気絶していた男たちが目を覚まし部屋に駆けつけたときは、すでにフード男の姿はなく、首と胴体が切り離された男のなれの姿だけだった。
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