左左右

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気付かないふりには もう疲れたんだ ~左左右~ 『伊藤ちゃん、』 呼ばれて振り向くと いつものあいつ でも何かいつもと違ってて 「なに、」 と素っ気なく返事する 一瞬淋しそうな、悲しそうな表情をみせたあいつは 『なんでもない、』 と答えた わかってるよ、福田 わかってるんだ お前が言いたい言葉も たぶん俺自身の気持ちも 「ふ、くだ」 この場から去ろうと歩きだす福田を呼び止める 何かを期待したような、 そんな顔で振り向く福田 あぁ そんな顔されたら 言うしかないじゃんか 言わないと もっと福田を傷つける お互い頑張って我慢したよな もう限界だよな 押し殺してた感情を ついに吐き出そう 不安、期待 いろんな感情が入り交じる福田の目を見つめて 「すきだよ、」 あぁ 言っちゃった えんど もう 伊藤ちゃん言うの遅いよー 待ちくたびれたー とかなんとか 結局自分からは言わない福田さん _
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