マジック

2/5
前へ
/110ページ
次へ
今、俺はジェイドの泊まってる部屋の前で固まっている。 中からは、物音一つしない。 どうやら眠っているようだ。 俺はある作戦を決行しに来たのだ。 その作戦とは… 寝ているジェイドの額に、肉という字を書くというものだ!! 主な首謀者はほかでもない。俺。 あとの共犯者、一緒に計画を練ったヤツはアニスだ。 ことの発端は今朝にある。 今朝、俺とアニスはジェイドの隙の無さについて語っていた。 ---------------- 「ジェイドって本当に隙がねぇよな~」 「確かに。大佐の隙…と言えば寝ているときぐらいなんじゃない?」 「寝てるときすら隙が無かったらアイツは化けモンだよ」 「そうだっ☆」 突然アニスは何かを思い付いたように言葉を発した。 「大佐の寝込みを襲って、隙があるかどうかを調べようよ~」 そして、ジェイドの額に肉という字を書くことになったのだ。 俺は最初拒否した。けれど、好奇心にはかなわなかった。 いつまでも固まってる訳にはいかないよな。 そう思い直し、俺はドアノブに手を掛け、静かに捻った。 ガチャ、と軽く音が鳴ってしまったが、規則正しい寝息が聴こえたので、ホッと一安心した。 心の準備を軽くした後、足音をたてないよう細心の注意を払いつつ、ジェイドの寝ているベッドへと近付いた。 ジェイドは熟睡しているようだった。 その顔をそっと覗き込んで見ると、眼鏡を外した顔を見ることが出来た。 やっぱり整っていて、綺麗。だが、心なしか普段より幼い印象を受けた。 そろそろ作戦に移らなければ。 俺は用意していたマジックをズボンのポケットから取り出し、キャップを外した。 その際音が鳴らないように心掛けた。 その努力もあってか、音は鳴らなかった。
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

64人が本棚に入れています
本棚に追加