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「うぅ、…」
また魘されている。またあの、アクゼリュスの夢を見てるのだろうか。
子供の閉じられた瞳から清らかな涙が一筋。それは月明かりに照らされていた。
「ご…めなさ…い…」
まだ産まれて七年しか経っていない年端のいかぬ子供。その子供が負うには余りに大きい咎。何百人、何千人の命。
この子供は今にもその咎に押し潰されてしまいそう。
この子供自体に罪は無い。この子供の無知さが罪だったのだ。
「せん…せ……師匠…」
無知故に利用されたのだ
「はぁ…はぁ…ジェイド、?起きてたのか?」
ルークは目を覚まし、起き上がった。
そして私の気配に気付いたのか声を掛けられた。今まで貴方の寝顔を見ていました、なんて言えない。言ったらキモいとか言われるのがオチ。
「ええ、貴方の寝言が煩くってね」
とても眠れたものではありませんよと言えば、ごめんなと俯く子供。
そんな子供を無性に抱き締めたい。
抱き締めてもう安心しなさいと言いたい。この子供の笑った顔を早く見たいのだ。
幸いにも今この場には私とこの子供しかいない。
そっと抱き締め、キスの一つでもしたい。今私は何と恐ろしいことを考えたのか。ああダメだ。そろそろ寝ないと間違いを起こしてしまいそうだ。
もういっそのこと起こしてしまおうかと思っていたら、お休みジェイドと声が聞こえた。その後すぐ健やかな寝息をたて、子供は深い眠りに誘われていった。
その唇に軽くキスし、私も眠りへ落ちた。
-end-
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