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『戦艦』2009/11/24      ここに一隻の戦艦がある。  戦と云うからには戦う為の物で、艦と云うからには海に浮かべる為の物である。  だがしかし、この戦艦は最も近い海から百キロは離れた内陸に鎮座している。  勘違いしないで頂きたいのは、戦艦は決して建造途中などでは無い。乗組員を揃え、物資を補給し、海に浮かべる事が出来たのならば、すぐにでも戦闘に参加する事が出来る。  排水量約五千トンのこの戦艦、ここから動かすにしても不可能と言って差し支えが無い。ここから海まで運搬手段が無い、あまりに巨大かつ重過ぎて。  では何故このような場所に戦艦があるのか? 戦艦を作る場所に困り内陸で建造をはじめたは良いが、完成するまで誰も運搬方法を考えて居なかったという馬鹿な話も無いだろう。  だがこの戦艦は建造された。既にある物を有り得ないと存在を否定出来るような魔法を我々は使えない。また、戦艦が自然発生するなどという自然法則を見出した論文も知る限り存在しない。建造した戦艦をここまで運搬したという説も、その逆が不可能なので否定して良い。なのでこの戦艦を誰かがここに建造したのは紛れもない事実だった。
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