第2話

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そうそう出くわす筈もなく…一通りメモに記された食材を買った俺は、両手に食材がパンパンに詰まったエコバックを下げて商店街を歩いていた。   「いい天気だが…そろそろ冷え込む季節だなぁ…」   そういえば静真の奴、結構な薄着で出て行ったが…   何をしに行ったかは分からない、が…確か美奈保はデートがどうのと言っていたな、いつの間にそんな相手が出来たのやら。   血の繋がりもなく、普通に赤の他人な俺だが…近しい間柄のせいか何となく子供が親元から離れていく嬉しくも寂しい気分ってやつが分かった気がする。   せめてそんな相手がいるなら教えて貰いたかったなぁ…と考えていた時、正面の道に静真の姿を見つけた。   隣の男が彼氏か? それにしては年齢差が凄そうな彼氏だが…腰なんかもう完全に曲がっちゃってるぞ。   まぁ楽しそうにしてるから良しとしようか。   「あれが彼氏!?」   帰ろうとした俺が振り返った目の前に、腕を組んだ美奈保が立っていた。   「いや、お前何やってるんだよ…」   呆れている俺に胸を張って美奈保は断言した。   「ふん決まってるわ、私の可愛い妹とも言える…否、『私の最愛の』超可愛い静奈ちゃんの幸せを考えた上でのストーキングよっ!!」   まぁ、美奈保は悪い奴じゃないんだけどな…ただ、コイツや可奈保さんの静真の溺愛具合が少し、いやかなり常軌を逸してるんだよな。   「あっ!!お母さん、静真があのお店に入ったよ!!」   何だって?   「そうね、予想外の相手とは言え『私の静奈ちゃん』を射止めた男…何としても素性を暴かないといけないわ!!」   いや、いつの間に居たんだ…というツッコミはこの際いいとして、新作メニューはいいのかよ…   「二人とも…あまり邪魔をしちゃ」   「「何を言ってるの『私の最愛の静奈ちゃん』の一大事なんだからっ!!」」   いや、分かっていた事だけど…なんかもうあんたらどんだけ溺愛してるんだよ…   「美奈保、行きましょう!」   「うんっ!」   二人は顔を見合わせて頷くと、エプロンを外して俺の持っていたエコバックに無理矢理ねじ込むと静真達が入った店へと走っていった…。
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