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「佐伯警…あ、コホンっ、佐伯さん、彼が?」
スーツ姿の女性の言葉に佐伯が頷く。
「私は佐伯さんの同僚で古宮千景と言います、宜しく…柳田さん」
「えっと、俺は…部署は違うけど佐伯さんの同僚の北坂です、よろしく」
「柳田長瀞です、よろしく」
俺達の簡単な挨拶が済むのとほぼ同時のタイミングでオーナー、いや、メイド長が入室して深く頭を下げた。
「いやぁ、悪いねメイド長…あ、コーヒー四人分とアップルパイ一つね…みんなは何か食べる?」
「それじゃあ俺はナポリタンを一つ」
佐伯に続いて北坂が注文を追加すると千景は一度呆れた様な顔をしたが、肩をすくめて「何も頼まないのはメイド長さんに悪いから」とサラダを注文していた。
「じゃ、じゃあ俺はこのメイド長オススメの一品という奴と…オリジナルブレンドコーヒーを」
俺もせっかくなので便乗する事にした、メニュー見た時にちょっと気になったんだよな…この二つ。
「あら、やっぱりお目が高いのですね、ご主人様♪」
畏まりました、と言って嬉しそうな顔で下がったメイド長さんとは裏腹に何故か佐伯達は若干苦笑いをしていた。
「やりますね…柳田さん、いきなりVIPルームでオススメとオリジナルブレンドの二つを注文するとは…」
「え、ええ…そうね、本当に何も知らないという事は、罪なんですね…」
北坂と千景が眉を潜める、というか何だその不安を煽る様なコメントは…
「俺でさえ今の二つをVIPルームで頼むのはちょっとなぁ…ナイスチャレンジ柳田さん」
飄々とした印象の佐伯でさえこの表情…ていうか、ナイスチャレンジって。
「い、良いじゃないですか、分からない訳だし…それに本題からズレて…」
そこまで言った所で扉が再び開いた。
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