第2話

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本来ならこの状況を楽しむんだろうが…そうも言ってられないからな。   何とか佐伯達に『両手が見える様に』テーブルに置いた俺は『透過させた触手』を展開する。   「―――ひゃんっ!?」   ビクンと体を震わせたメイド長が俺を初めとするVIPルームの面々に視線を走らせる。   久しぶりの『食事』として申し分のない相手だが『印』をつけるだけで十分だ。   「んぁあっ!?ハァ、ハァ…すっ、すみません…ご、ご主人さまぁ…あン…ぁふぅっ!?」   「や、柳田さん…」   「何もしてませんよ俺は…」   突然の事態に目を丸くしながら千景が俺とメイド長を交互に見比べる。   「こ、これは…何か凄いモノを見てる気がする…」   「奇遇だな北坂くん、俺もだよ…恐るべし柳田マジック、ですかねぇ」   「人聞きの悪い事は言わないで下さいよ、佐伯さん」   まぁ、実際俺が何とかしちゃってる訳だが…両手が見えている上に、触手も透過させているから傍目にはメイド長が『一人で喘ぎ声をあげている』様にしか見えない。   妙な所でこの力に感謝せねばならないとは…まぁ、感覚を切り離してランダムで動かしているだけだが『印』を付ける為の分泌液のおかげだな。 それに感覚を通したら俺自体が頑張らなきゃならないし…ちょっと残念だが『仕上げ』にいくか。   反応は十分に観察出来たから弱い部分を徹底的に責める―――   「~~~~~っっ!!」   その瞬間にメイド長が惚(と)けた表情で体を弓なりに反り返り小さく痙攣した。 そして力無く倒れかかる。   「あの…具合が悪いんでしたら、残念ですが無理しないで休んで下さい『また来ます』から」   『印』が付いた事も手伝ってメイド長は俺の言うことをアッサリ了承すると、惚けた表情で何とか笑顔を作り頭を下げて退室した。   「いやぁ…良いものを見せてもらいました、柳田さん」   「今度どうやったか教えてもらえま…」   佐伯と北坂が俺に喝采を送る姿を、かなりの睨みを利かせた千景の咳払いが収拾を付ける。   「さ、さて、本題に入りましょうか…」   佐伯達には悪いが、俺はそれだけ言うのがやっとだった。
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