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走り出した俺は化け物と掴み合い、化け物が開けた天井の穴から飛び出した。
思っていたより広いな…これなら立って戦える…なに!?
蝙蝠の化け物…蝙蝠女?が滑空して蹴りを放つ、それ直撃寸前で避ける。
流石に触手じゃ空は飛べん…だが!
再び低空を滑るように飛んでくる蝙蝠女の攻撃をかわし、俺はすれ違い様に五指を触手に変えて放った。
ひらりと身を翻して避けた蝙蝠女が顔を歪めて笑う。
「安心するにはまだ早いな…蝙蝠女」
通り過ぎた触手の方向を変えて蝙蝠女の翼を射抜く、悲鳴の様な鳴き声をあげて車両に落ちた蝙蝠女に追撃の触手を放つ。
『!!!!!!!!!!』
「うおぉっ!?」
蝙蝠女が何かをした瞬間に肉迫していた触手が次々と砕け散る、離れた場所にいた俺も何かの衝撃で跳ね飛ばされた。
何とか着地したと同時に今度は蝙蝠女が掴み掛かって来た、いや…これは!?
蝙蝠女が口を開けた時、そこにスピーカーの様な物体が見えた―――音波か!!
「ぅオオぉっ!!」
何かが振動した様に感じた瞬間に俺の胸を覆う触手の一部が砕けた!
「ギッギ…邪魔ヲスルからダ…そのままクダケテし…」
「っ…だから油断し過ぎなんだよ、お前はっ!」
音波によって腹部の触手が砕ける、その時俺は砕けた腹部から束ねた触手を放ち蝙蝠女の口を塞いだーーー
「捕まえた」
更に左手で蝙蝠女の体を完全に固定して持ち上げ、それと同時に俺は右手の触手をドリルの様に変化させた―――
「うまく『取り出して』やるからな…」
左手を引くと同時に右手を突き出し、縛り付けている触手ごと―――貫く!!
「っりゃああああああああああああぁっ!!」
回転が掛かった右手が『対象』を発見し、直ちに包み込む、そして『表面』の蝙蝠女から強引に引き剥がす。
「アギャアガアアアアアアアアァ!?!?」
悲鳴をあげて車両の上に倒れ込んだ蝙蝠女が、保護した『対象』である女性に手を伸ばす。
「この女はもうお前のものじゃない…諦めるんだな」
蝙蝠女に背を向けて歩き出す、背後で何かが砕け散る音が聞こえた…
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