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「おい、起きろ静真…アンタもだ」
二人の体を揺すると少し惚けた表情で目を開けた。
「あれ…ナガト…さんじゃないですかぁ…何でここに…?あ、三崎先生も…」
「あ、あら…私一体…」
地下鉄のホームに備え付けられたベンチで目を覚ました二人が顔を見合わせる、静真は分からんが…この女性はここ最近の記憶も無いだろうな。
「まったく…忘れ物の弁当を届けに来てみれば、見知った顔がベンチで寝てるんだから焦ったっての」
パチンとデコピンをかまして俺は静真の鞄から抜き取った弁当を差し出す。
「あ…ありがとナガトさん…ところで今何時なの?」
「た、大変!吾桑さん、もう10時過ぎてるわよ!?」
慌てた様子で答えたのは三崎と呼ばれた教師だった。
まぁ、一般的に言えば大遅刻だもんな…
直ぐに起こそうとは思ったんだが、静真が『あんな状態』だったから…着替えとか取りに帰ってたらこんな時間になったんだった…。
「そういえばナガトさん…何時来たの?」
「…へ?あ、いや…今さっきだぞ」
「ふ~ん、じゃあ朝のホームで見かけたのは誰だったのかなぁ…ねぇ、ナガトさん?」
気付かれてたのか…
「いや、だってお前そこの先生と楽しそうに話ししてたし…それに駅のホームで寝る奴が悪いだろ、普通っ!」
ああ、駄目だ…コイツもう話しを聞いちゃいない…というかこれじゃ助け損じゃないか、俺…
結局、調子を崩した静真を先生と介抱していた、という嘘をつく事で落ち着いたのだが…
俺は静真に『起こしてくれなかった罰』として『3日間全ての飯が柿の種のピーナッツのみの刑』を喰らわされたのだった…
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