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いつ頃だったのかはよく覚えていない。
この“力”に気付いたのは。
“力”―――。オレの場合、人より数倍…いや何千倍も優れた“運動性能力”。
今持てる力を全て出し切って走れば、学校までの片道3キロ、4分もあれば余裕で着いたし。
(深夜にコソッと確認済み)
ちょっとジャンプすれば15メートルは垂直に跳べたし。
(こちらも深夜にコソッと確認済み)
…当時、もう12歳だったし、こんな事が世間に広まればあっという間にニュースになることは判っていた。
―――異端の目で見られることも。
オレは人間でありたい。
皆の目に映るオレは最後まで人間でありたい。
幼いながらに、そう、強く思った。
それに今のオレには、気になるコがいた。
そのコにだけは、絶対知られたくなかった。
隣のクラスの、ミズキちゃん。
色白で、少し身体の弱い“守ってあげたくなる”タイプの。
勿論…誰にも打ち明けてはいない。
ムネの中に秘めた淡い“想い”―――だった。
ある日、ソレはオレの目の前で起こった。
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