0:目醒めの呪文

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学校近くにある国道。 毎週水曜日の、この時間、この道を、彼女が通るコトを知っていた。 幼少時より習っていると言う、ピアノ教室の帰り道。 道沿いにあるコンビニで、道路に面してる雑誌コーナーで立ち読みするフリしながら、いつもチャンスを伺っていた。 (ストーカー?、オレ…) 『やぁ今帰りぐーぜんだね暗いし危ないから家まで送ろうか』 そう話しかけようと、常にセリフは用意していた。 しかし…用意してあるにも関わらず、いつも緊張が先だって、実行に移すことは叶わずにいた。 “今日こそは!!” …いつも意気込んではいる。 (――あ、来たっ) 彼女が目の前を通り過ぎていく。 ゴクッ 生唾なんか飲み込んじゃって。 いつもは躊躇っていた足が、今日は動いた。 慌ててコンビニから出た。 ―――追いかける。 走る通り過ぎ不自然さが目立つから、ごく自然に追いかける。 彼女は横断歩道を渡ろうとしていた。
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