0:目醒めの呪文

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空耳なんかじゃない。 確かに“聞こえて”いる。 しかしソレは、空間を振動で伝わってくる音の情報ではないように感じられた。 直接、脳に聞こえてきた…? 「…?…?…」 初めて感じる、この感覚。 身体が、こころが、戸惑いを隠せないでいた。 《感覚がとても鋭いのね。ワタシの波をキャッチ出来たんですもの…凄いコトだわ》 「あっ…あなたは…だっ…誰っ?なんで…何で声が頭に響いてくるの…!?」 《…言葉を口で紡がなくても、心で会話は出来るのよ、アナタはね》 言葉を口にしなくても、心で会話を出来る…? 私が? …よく………判らなかった。 《フフフ…。さぁ…アナタの名前を教えて。“心”から伝えてちょうだい》 (―――…お。茶原…澪…) 《そう。澪ちゃん。ありがとう、ちゃんと伝わってきたわ。何歳なの?》 (1…0歳だ…よ…) “声”の人と“会話”をしていくにつれ、頭の中のモヤが架かっていた部分が段々と鮮明になっていく感覚に捕われた。 何だか…冴えすぎて頭がズキズキする…
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