0:目醒めの呪文

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当然ながら窓には鍵がかかっていた。 気が動転していてまるで気付かなかった。 ただひたすら、窓をガタガタ言わせる。 極度の恐怖と焦りから、手足より急速に力が抜けていくのが判った。 足がガクガク震え出す…。 その時、ストンと膝が落ちた。 「ヒヒ…もう逃げられないぜぇ、ボークちゃぁーん…。かっわいそうに。腰が抜けちまったのかなァ?んー?」 「…………っ」 ――――声すらも出てこなくなった。 ワナワナと唇だけが動く。 「いいねぇ、そのひきつった顔。これだから殺しと盗みは止められねえんだよ…。あー!たっまんねぇなァ!ヒッヒ…」 キラリと光るナイフ。 だんだんと顔に近付いてくる。 俺はソレから目が離せない。 ソレが顔に突き刺さるか否かの瞬間。 少年は“覚醒”した。 ヒトの秘められた、力。 使われないままで大半は役目を終わらす、脳の2/3の力。
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