5人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
当然ながら窓には鍵がかかっていた。
気が動転していてまるで気付かなかった。
ただひたすら、窓をガタガタ言わせる。
極度の恐怖と焦りから、手足より急速に力が抜けていくのが判った。
足がガクガク震え出す…。
その時、ストンと膝が落ちた。
「ヒヒ…もう逃げられないぜぇ、ボークちゃぁーん…。かっわいそうに。腰が抜けちまったのかなァ?んー?」
「…………っ」
――――声すらも出てこなくなった。
ワナワナと唇だけが動く。
「いいねぇ、そのひきつった顔。これだから殺しと盗みは止められねえんだよ…。あー!たっまんねぇなァ!ヒッヒ…」
キラリと光るナイフ。
だんだんと顔に近付いてくる。
俺はソレから目が離せない。
ソレが顔に突き刺さるか否かの瞬間。
少年は“覚醒”した。
ヒトの秘められた、力。
使われないままで大半は役目を終わらす、脳の2/3の力。
最初のコメントを投稿しよう!