真実の鏡

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男は風呂場に向かった 男は浴槽につかり、温まる 少しカッコつけて、少ない髪を後ろになびかせる 体が十分に温まった男は髪を洗い始めた シャワーからお湯が出る、鼻歌が風呂場に響く一方、頭の上では悲鳴が響きわたっていた 成夫「守毛、波毛、足元に気をつけろ、抜けたら、毛根が死んでしまうかもしれん」 排水口に流れる髪を見ることもなく風呂を上がり、鏡を見る 鏡に最高の笑顔をしてみる 男は首をかしげて (いつもは決まるはずなのに、なにか足りないなぁ) 男は髪が足りないという答えを導き出すことができないまま、鏡は曇ってしまった
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