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―…話が逸れたね。僕が君の担当になった理由はね、君は過去を忘れ"過ぎ"た。
君の記憶は迷宮だらけ。迷宮が増えるとね、
―君は人の記憶から存在を消されてしまう。
すなわち、"消滅"に繋がる。
信じがたい話だったが、今の環境…待遇がそれを物語っている。
目を合わせない親。
話し掛けても私を知らないという友達。
私とぶつかっても、何もなかったかのように過ぎて行く通行人。
私は…私は、と口をボソボソと動かしてみるが上手く話せない。
軽い嗚咽を漏らしながらやっと言い放つ。
「私…忘れられるのが嫌…っ」
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