486人が本棚に入れています
本棚に追加
「ミキ先輩が僕に相談なんて珍しいですね。」
「そうだっけ?」
午後8時、バイト終了とともにゴウに「相談あるから一緒に飯いかねぇ?」と声を掛けた。
「まぁ、いいですけど。」
「ありがとー。何食う?」
「何でもいいですよ。」
「『きよ美』はどう?」
「ああ、良いですね。あそこ量が多いので僕好きです。」
細い割にめちゃくちゃ食うもんな、お前。
あそこなら値段も安いし。
「奢りですか?」
「奢りですよ。」
「ありがとうございます。」
にっこにこした顔で俺の後をスキップ気味についてくる後輩。
こーゆー時だけ可愛い。
普段は憎たらしい。でも男前だから、なんか、何をしても許してしまう自分が憎い。
「僕、バイク取ってきます。」
「あ、じゃあ俺チャリだから先に向かってるわ。」
「分かりました。ではまた後で。」
「うぃー。」
片手を挙げて返事をすると、ぐいぐいと力を入れて自転車を漕ぎ出した。
中古で5500円のオレンジの愛車。有池号。
こっちに下宿したと同時に近くの中古自転車屋さんで購入した。この美味しそうなオレンジのボディーに一目惚れ。迷わず自転車屋のおっちゃんに「コレ下さい。」と言った。
他にもっと安い自動車も何台かあったし、予算は5000円までと決めてたのに、他に目がどうしても行かなかった。もう「コレじゃないと絶対嫌だ。」とさえ思った。
そんな愛しい愛しい有池号と出会って今年で3年目。
最後の最後まで大切にするから、これからも宜しくね❤
最初のコメントを投稿しよう!