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「あ、遅かったですね。もう頂いてます。」
「お前ホント可愛くないな。」
しゃこしゃこと懸命に自転車を漕いでいたら、後ろから「お先に。」という声が聞こえてそのまま黒のバイクが走り去っていった。
で、着いてみればもう既にスペシャル定食に箸をつけてる後輩。
俺、一応先輩なのに。
「待つとかそういう発想は無いわけ?」
「無いわけじゃ無いですけど、」
「けど?」
「ミキ先輩だから、いいかな。ってゆー。」
ってゆー。じゃねぇよ。
なんだよ、いいかな。って。
8時過ぎの時間帯はやっぱり運動部で混み合っていて、その中でゴウだけが若干浮いていた。
店のおばちゃんはそんなゴウがお気に入りのようで、毎回ゴウが来ると「サービス❤」と言って山盛りの唐揚げを出してきてくれる。
いいよな男前は。
「ホント可愛くねぇなお前は。」
「ありがとうございます。」
「誉めてねぇよ。」
ってゆーかその切り返しも古いよ。
「で、相談と言うのは?」
「あ、ちょっと待って。おばちゃーん!スペシャル1つー!」
奥であくせくと働くおばちゃんに大声で注文をすれば、「綺麗なお姉さんと呼びなー!」と、無茶な注意が帰ってきた。
「嫌われてますね。」
「るせーよ。」
にやにやとこちらを見るゴウに腹が立って、サービスで出された唐揚げを1つ摘んで口に放り込んだ。
「あ!僕のなのに!」
「いーはん、はくはんあふんはひ。」
いーじゃん沢山有るんだし。
モグモグと心の狭い後輩に注意を促す。
先輩たるもの、後輩には厳しくしていかないと!
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