桜の木の下には

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こんにちは。 有池 美貴 20歳の男です。 美貴はミキって読みます。 完全に名前の字とか響きからしたら女みたいだけど、男です。見た目も中身も完璧に男です。ただ名前にコンプレックス。 親はどうやら女の子が欲しかった模様。 だからって男にそんな名前はどうなのよ? 女の子なら「美紀」で、 男の子なら「美貴」でいこう。 って決めてたんだって。 どっちに生まれてても「ミキ」なら女が良かった。 もっと格好いい名前がいいなー。 ジュンとかね。 俺の隣にいるこの男。 俺の親友、市庵 純。 名字も良いよね。 市庵。「シアン」。 そしてジュンなんて、男らしいじゃん?いいなぁ。羨ましい。 そんな親友のチャームポイントはすっきりとした目元が涼しげな一重。 本人はその一重が嫌らしいけど、よく似合ってるし、俺、知ってるんだ。 何気にファンが多いことに。そのあっさりとした目元が良いらしいよ。 かという俺はどちらかと言えば、ちょーーーっと女顔。 ちょっとね、ちょっと。 ほんのちょっぴり。 ジュンと気が合うからいつも一緒に居るんだけど、そしたら良からぬ噂をたてられた。 俺の方が背が高いのに、やめてほしい。 逆のパターンの噂もあるけど、それはそれでちょっと…。 「…何?」 「あ、いや。別に。」 ジッとジュンの顔を見ていたらしい。 あぶねー。また良からぬ噂をたてられるとこだった。 (ねね、みた?) (え?なになに?) (さっきね、見つめ合ってたよ!) (うそぉ!見たかったぁ!) (あたし見ちゃたぁ!) (ずるぅい!) …。 遅かったか。
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