桜の木の下には

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2限目終わりの昼食時。 俺たちはいつも次の講義が行われる教室でお昼を食べる。 大学の校内で昼休みになればお弁当が売り出される。その値段も300円と学生に優しい値段。量もそこそこあるからいつもお世話になっている。 種類もいくつかあるけど、割と毎日同じ物を食べても飽きが来ない俺はいつも決まったメニュー。 唐揚げ弁当。 唐揚げ美味しいし、野菜もちょっと入ってるから好き。 ジュンは俺と違っていつも自宅からお弁当を持ってくる。 彼、実は有名な料亭の息子。 かなり古くからある店でジュンのお父さんで5代目なんだとか。 ジュンも料理が得意で、彼の作るご飯はとても美味しい。お昼のお弁当も自分で作ってきてる。 一人暮らしをしている俺は、たまにジュンを家に招いてご飯を作ってもらってる。 まぁ、この事実があらぬ噂の原因になってるとは思うけど、だって美味しいんだから仕方がない。 ジュンも嫌とは言わないし、あっちから「今日は何食べたい?」って、聞いてきてくれる事もしばしば。 …思えばこの発言もちょっとダメじゃん。 そんなジュンは俺と共に何故か建築学科に所属していた。 「家を継がないの?」と、質問すれば、 「兄貴がいるから、いい。」だって。 ジュンには俊「シュン」って言う双子の兄貴が居るんだ。その兄貴は料理の専門学校に通っている。 ジュンも料理が好きなハズなのに、何で遠慮してるのかな? その事がずっと疑問に思ってたんだけど、ジュンはあんまりその話をしたがらない。 まぁ、他人がとやかく言うことじゃないから、俺も特に突っ込まない。 ただ、もったいないなと思う。
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