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少年は驚いた
確かにコイツは上忍で、自分では想像も出来ない任務に赴くだろう
(最後の休暇って…)
「もう、帰って来ないのか?」
今にも落ちそうな涙をグッと堪えて少年は問い掛けた
「難しいかもねっ」
カカシはちょっと軽めに言った
「折角、友達になれたと思ったのに…」
別れの場所に着いて下を向くカカシは少年の言葉に理性が吹っ飛んだ
(俺は友達じゃ嫌だ!!!)
カカシは少年の両肩を掴み
「俺は、カカシ…はたけカカシ!!」
行き成りの自己紹介に、少年は面食らった
「あ・あっ…俺は、う……」
自分を名前を言おうとしていた筈だったのに今目の前には、カカシの顔がある
荒々しく、貪られる様なキス
その癖、とても優しく、少年は思わず瞳を閉じていた
どれ位時間がたったのか、長かった様でもあり、とても短かった様でもあった
足腰に全く力が入らず、少年はヘニャヘニャとその場に座り込んでしまった
同じ目線までカカシは屈み
「俺は、あんたに何もしてやれないけど、あんた居るこの里を命を掛けて守り続けるよ…」
「帰って………」
「え!?」
少年はカカシの胸倉を掴み
「絶対帰って来いっ!!!死ぬなんて許さないっ!!!まだ友達から始まったばかりだろっ!!!又、一緒にあの風景を二人で見るんだっ!!!」
カカシは少年の頬を涙を拭いながら上に持ち上げた
少年はカカシの顔を見て凍りついた
今まで、額あてで隠していた左目が露わになっていた
そこには、赤い瞳がゆらゆらと揺れていた
(綺麗だなあ…)
少年がそう思った瞬間、意識が無くなった
「ごめんね…あんたの記憶は俺が貰っていくよ…」
カカシの目からポタポタと少年の頬に涙が落ちていた
「大好きだよ…愛してる…自分の命より大切なあんた…もしも戻って来れたら…又会いたい…」
少年は、夢から覚めて、ポカリと目を開けた
とても、良い夢を見て居た気がする
楽しくて、嬉しくて、そして何故か、とても切ない…
まだ、寝ぼけ眼の少年の隣では、火影が煙管に紫煙を燻らせながら、水晶玉を見つめていた
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