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それはジョセフ少尉だった。
『そう言う少尉こそ早いじゃないですか。』
『バカ言え。俺は寝てないだけだ。』
『失礼しました。』
ジーザ曹長は敬礼をした。そして皆は笑い出した。
『少尉あれからずっと起きてらしたのですか?』
カガリ伍長がそれとなく尋ねる。
『俺の愛娘の初陣だからな。念入りに手入れをしていた。気が付けばこの通り朝だ。』
再び皆は笑った。
『何か朝から賑やかだな。』
『あっ中尉。』
皆はアーバン中尉に敬礼をした。
『いえ、少尉が徹夜だったみたいで。』
そう言われて見てみると少尉の顔には隈が出来ていた。
『そうだったか少尉。ご苦労であった。』
中尉はジョセフ少尉の肩を叩いた。
『中尉達には無事に帰って来てもらいたいですから。』
『泣かせること言うな。言われなくとも絶対に帰って来る。』
固い握手をすると皆に向かって言った。
『アーバン小隊は今より出撃する。』
ジーザ曹長達は敬礼をし、各自MSに乗り込んだ。ジョセフ少尉の見送る中、アーバン小隊は激戦地へと向かったのであった。
アーバン中尉達のMSを搭載した輸送機はジャブローに向かっていた。機内では、ジーザ曹長がカガリ伍長と何かを話していた。
『そう言えば、お前彼女居るのか?』
座席にもたれながらジーザ曹長は聞いた。
『藪から棒に何ですか。』
ジーザ曹長はムクッと起き上がるとカガリ伍長をジッと見た。
『そんな見ないで下さいよ。彼女なんていませんよ。』
『本当か?じゃあそのペンダントはなんだよ。』
カガリ伍長はハッとしてペンダントを隠した。それを前で聞いていたアーバン少尉は、やれやれと言う顔をして持っていた本を読み始めた。
『何で隠すんだよ。怪しいなぁ…。』
『いや、これは違うんです。』
カガリ伍長はペンダントをギュッと握りしめた。何か訳がありそうだが、ジーザ曹長はニヤニヤしながらカガリ伍長の横っ腹を突っついていた。
『止めて下さいよ。これは家族の写真が入っているだけです。』
そう言うとペンダントをジーザ曹長の前に出し、フタを開けた。中には確かにカガリ伍長とその家族が映っていた。
『すまない。大事そうにしていたからな。てっきり彼女の写真かと…。』
『別に良いですよ。良い大人が家族写真なんておかしいですよね。』
『そんな事はないと思います。』
後ろから言ったのは滅多に話さないナーキリ伍長だった。
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