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『お前喋れるのか?』
ジーザ曹長は驚いた顔をした。普段、居るのか居ないのかさえ分からなかった。存在感は薄いのは言うまでもない。
『どう言う意味ですか。』
当然だが、ナーキリ伍長は怒っていた。
『だってよ…。』
ジーザ曹長は困った顔をしてこめかみ辺りを掻いた。
『だってよ…なんですか?』
ナーキリ伍長は一段と怒っているようだった。
『悪かった。謝るから許してくれ。』
ジーザ曹長は手を合わせ頭を下げた。
『謝るぐらいなら言わないで下さい。』
ナーキリ伍長はプイッと横を向いた。それをカガリ伍長は見て笑った。
『カガリ何を笑っているんだよ。』
ジーザ曹長が睨む。カガリ伍長にとばっちりが飛んで来た。
『いいですか。誰にでも家族はいます。我々はそれを守る為にこうやって戦っているのです。カガリ伍長も恥ずかしいなんて思ったらダメです。後、ついでですがジーザ曹長、今は戦いの前です。もっと真面目にやって下さい。』
そう言うとシートにドサッと座った。
『いや、別に俺はふざけている訳じゃなく、戦いの前だから和やかになればなあって…。』
ジーザ曹長はモジモジしながらナーキリ伍長をチラッと見た。
『ナーキリ伍長もう許してやれ。ジーザ曹長も悪気は無いのだ。明日は死ぬかもしれないと言う我々を和ませようとしただけだ。』
『しかし…。』
『もう少しでジャブローに着く、それまで体を休めておけ。戦闘中に寝る訳もいかないからな。』
アーバン中尉は言い終わると持っていた本を顔に被した。それを見てジーザ曹長達も各々眠りに着いた。
遠くにジャングルが見えて来た。そこは激戦地のジャブローだ。そこで多くの命が散っている。アーバン小隊はその中に飛び込んで行った。
『隊長さん。墓場に着きましたぜ。』
輸送機のパイロットが言った。
『墓場とはあんまりだな。』
『いや、良くもこんな所に…。死に来たようなもんでしょう。』
パイロットはニヤニヤとしている。
『俺達にはやらないといけない何かが、ここにはあるのさ。お前も一緒に行くか?』
『オイラはここまでで結構。隊長さん達を置いたらとっとと帰らしてもらいますよ。』
パイロットは顔の前で手を振った。そして前方に見えるジャブローへ向けて降下して行った。
アーバン小隊は各自のMSに乗り込んだ。輸送機のハッチが開くと降下を始めた。
『アーバン小隊出る。』
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