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中は岩肌で、いわゆる大きな洞窟であった。小さな街がすっぽりと入りそうだ。その中に戦艦をメンテナンスするドッグがあった。
そこに目的の木馬ホワイトベースが停泊していた。
《間違いない。ここで合っていたな。》
ジーザ曹長は小声で喉にあるマイクでカガリ伍長に話した。
《そうですね。早く戻って隊長に報告ですね。》
カガリ伍長は戻ろうと振り返った。するとジーザ曹長に肩を掴まれた。
《ちょっと待て。あれを見ろ。》
ジーザ曹長が指差した方を見るとホワイトベースの前方のハッチが開いていた。その中に連邦軍のMSが見えた。
『あれが白い悪魔…ガンダムか…。』
『確かニュータイプが乗っているんですよね。まだ、10代だったですよね。』
『ああ、何かそんな話だな。本当にそいつが凄いのか、それともMSが凄いのかは分からないな。でもまあ、俺の一撃でニュータイプもお陀仏よ。』
ジーザ曹長は自信有り気に言った。
『はいはい分かりました。せっかくだから、データ収集しときましょう。』
カガリ伍長はスタスタと木馬の方に向かって行った。
『おいっ!』
そう言いながらジーザ曹長は追いかけた。木馬に近づくにつれ、兵士が増えてきた。
『仕方ない。少し遠いがこれ以上は近づけそうに無いな。』
ジーザ曹長は腰に付いているケースからカメラを取り出した。そして立て続けに数枚、写真を撮った。
『カガリ戻るぞ。』
『はい。』
そして外に向かって歩き出した。ところが2人の前に連邦軍の兵士が立ちふさがっていた。とは言ってもまだ、こっちに気が付いてはいなかった。
『ジーザさんどうします?』
『どうするも何も何とかしないとな。』
ジーザ曹長は腕を組み考え込んだ。するとカガリ伍長が近くに落ちていた鉄のパイプを拾い上げ、ニヤリと笑った。ジーザ曹長はすぐには分からなかった。忘れていたのだ。カガリ伍長が剣に長けていた事を。
『忘れていませんか?私のこれの実力を。』
ジーザ曹長はやっとそれを思い出した。そしてカガリ伍長に近づき肩を叩いた。
『では、ちょっと行って来ます。』
そう言って連邦の兵士に近づいて行った。ジーザ曹長は物陰で隠れるようにカガリ伍長の様子を見ていた。連邦の兵士は何やら楽しそうに話をして、カガリ伍長に気づいていないようだ。そして次の瞬間、カガリ伍長がパイプを振り上げた。
バタバタ…
連邦の兵士がゆっくりと倒れていった。
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