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それは悪魔の手に見事命中し、赤ちゃんを取り落とす結果になった。
「危ないっ」
そう叫んだジンは走って受け止めようとするが、間に合わない。
誰もが諦めたその時。
一人の青年が寸前で受け止めた。
「あぁ。何処のどたなか存じませんが、ありがとうございます。ありがとうございます」
「……………」
青年は無言のまま、腕に抱えていた赤ちゃんを母親に返す。
そして何かに気付いたようにコチラを振り向いた。
「―――――」
驚いたような顔をしたかと思うと、声を出さずに口を動かす。
ジンには読心術など持ち合わせていなかったが、何となく分かってしまった。
『――その模様は…』
謎の青年はそう呟いていた、と思う。
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