†Distiny†プロローグ

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前方を見ると、確かにそこには一人の年若い男の人がいた。 「こんばんは。そこの少年?」 再度言われた挨拶に少し戸惑ったが、とりあえず挨拶を返す。 「こ、こんばんは…」 「君がこの村の犠牲者かね?」 「…はい」 やはり目の前にいる男の人は悪魔なんだ。と思ってしまう。 何故なら、まるで品定しているような目で見てきたからだ。 「あ、あのっ…!」 「ん?」 「僕を…、僕を食べるんですか?」 当たり前の事を聞く自分。 その光景は悪魔から見たら、実に愚問とも言えるものだろう…… 「残念ながら、俺は人を食べない悪魔なのだよ」 「え?」 返ってきた答えはあまりにも予想外で。 暫く茫然として頭が働かなかった。 「変わってるかい?けれど安心したらいけないよ。少年」 「それって、どういう……」 「俺は人を食べない。だが…魂を頂く」 ビクッと肩が跳ねる。 食べられないだけ良いかもしれないが、やはり“死ぬ”というのは怖かった。 「さあ、お喋りの時間はここまでに致そう。お別れだよ?少年」 「――――っっ」 眩い光が悪魔の掌から現れて、それが勢いを増して少年に向かっていく。 あと僅か一メートルという所で、耳に届く筈の無い声が聞こえた。 「お兄ちゃんっ!」 突き飛ばされて地面と激突する。打った右肩を押さえつつ、すぐに自分の居た場所に振り返った。 するとそこには―― .
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