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その機械…UFOはアームを広げて下降する。
もう、彼女は後戻出来ない。
「頑張れ…頑張れ…」
彼女無意識であろう声を出す。
下降するUFOは徐々に目標のぬいぐるみへと近づく。
そして、丁寧にそれを掴んだ。
「…ダメだよ…落ちちゃダメだよ!」
まるでUFOに全身全霊を込めるかの様に彼女は呟く。
これを見れば赤の他人でも多少は彼女に興味を抱くだろう。
共感かとは別としても。
しかし、無情にもアームから少しずつぬいぐるみは離れていく。
最初に掴んでいた足は空中にぶらんと浮いている程だった。
「お願いだってばぁ…」
彼女の頭がドン…とガラスにぶつかる。
それに対してキュルキュルと音を立てて揺れながら上昇するUFO。
彼女はただじっと今にも落ちそうなぬいぐるみを見つめる。
そして。
ポトッ
「うあああああああああああああああああああ!」
少女は大声で叫んだ。
周りの人達が一斉に少女を見る…が当然、彼女は気づいていない。
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