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「お、お客様、何か御座いましたか?」 「あう…店員さん、これ…取れないよおおおお…!」 少女はUFOキャッチャーを指差す。 目には涙が浮かんでいた。 「あ…はぁ…申し訳御座いません…」 店員に泣きつく少女。 店員は何をどうして良いのか解らず、戸惑っていた。 「お客様、よろしければ景品を移動させていただき…」 少女は黙って財布を開ける。 そこに入っている物は皆無だった。 「…もう無いんですよぉ…」 「は…はぁ…」 俄然戸惑う店員。 少女は頭を軽く下げフラフラと店を出ていく。 「…あ、有り難うございました!」 そう言って頭を下げる。 これが店員である彼にとって出来る最善の行動だった。
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